東洋医学における咳の治し方についてお話ししていきます。
こちらのページでは
・様々な医療機関に足を運んだが、治らない
・薬が効かない
・慢性化している
・西洋医学で原因不明と言われた
とお悩みの方に、東洋医学で改善される訳をお話していきます。
今回は大きく分けてこの3つをお話していきます。
①東洋医学が咳に有効な理由
②胃と咳の関係について
③今からできる処方箋
西洋医学における咳の概念
・急性咳嗽
・慢性咳嗽
に分けられます。
急性咳嗽
・風邪やインフルエンザなど、ウイルス感染や細菌感染で起こる咳
・期間は3種間未満
→治療法
・ウイルス薬
・抗菌薬
この場合の咳では西洋医学において処方される薬が有効と言えます。
慢性咳嗽
・喘息や気管支炎などの疑い
・期間1.2か月の長引く咳
→治療法
・禁煙
・アレルギー薬
・ステロイド薬
喫煙やアレルギーを疑われることから上記が処方されることがあります。
西洋医学では呼吸の通り道である気管・気管支・肺の病気を疑います。
呼吸器内科や耳鼻咽喉科等の専門の科へ受診します。
西洋医学では「気道の狭窄」などの見方も有り、
気道や気管支を拡張するような薬を処方されることもあります。
ですが様々な薬が処方されても効果が見られない方は、東洋医学的に考察し、治療することが有効です。
咳が続いているとは=正常な呼吸が出来ていない状態です。
呼吸は本来、酸素と一緒に全身に血液を運んだり、食べ物の消化に関わったり、人体の機能において重要な役割を担っております。
東洋医学ではそれをわかっている為、「治らない咳」は身体全体の何処に
根本原因があるのか、全体を俯瞰して考えることから、原因を突き止めることができると言えます。
ステロイドの長期服用における体内の作用
ステロイドとは体内の「副腎」から分泌されるホルモンで、糖代謝、脂質代謝、骨に対する作用、免疫、アレルギー、に関わっています。
ステロイドを長期服用する事で自然摂理である体内の自然分泌能力が低下し、あらゆる副作用が生じることがあります。
糖尿病、皮膚症状、骨密度の低下、浮腫み、易感染(細菌感染に罹りやすい)、高コレステロール血症などです。
ステロイドには細胞増殖を抑制することにより創傷治癒を遅延させる作用がある為、一度このような障害を生じると、治癒までに時間を要します。
例えばアトピーの方が外用薬のステロイドを長期使用していると、皮膚が委縮し色素沈着して茶色や赤色の硬く厚くなる皮膚、いわゆる「象の肌」の様になってしまった方が、ステロイドを辞める為に脱ステロイドをする方が多く見られます。
人間はホルモンの奴隷と言われますが、私たちの身体に備わっている本来の生理現象では、あらゆるホルモンの支配下で行われています。
それらを体外からコントロールすると「ホメオスタシス(恒常性)に何かしらの負荷がかかり、どこかに支障をきたす。」
と考える方が自然かもしれません。
「火のないところに煙は立たぬ」という言葉があります。
火のないところに煙はたたないので、火の元である根本原因を理解し、それに対して治療することが有効であると考えます。
①東洋医学が治らない咳に有効な理由
東洋医学は2500年前もの歴史がある、経験医学です。
現代のように医療機器が発展していなかった時代、お医者さんは
・脈や腹
・舌の状態、
・季節
・気候
など五官を使い、患者さんの今ある状態を把握していました。
ですので、東洋医学では現代の数値やデーターでは把握出来ない部分を診ることができます。
西洋医学との大きな違いの一つに組織器官は個別に機能するのではなく、全体が一つの繋がりを持っているといった考え方があります。
西洋医学はお医者さんに罹ろうとする時、様々な科に分かれます。
東洋医学では全体は繋がっていると考えることから、あらゆる疾患に対応出来ると言えます。
②咳と胃の関係について
この表で分かるように東洋医学ではあらゆる病が五臓六腑と関係していると考えます。
咳は「肺」と「胃」に属しています。
咳のある方は
・皮膚症状
・アレルギー
・胃があれやすい
・消化不良
・胃の調子が悪い
・口内炎
になりやすい、ということが解ります。
東洋医学の肺とは
では、胃と肺の状態をみていきます。
結論からお伝えしますと、治らない咳の原因は
胃の熱により肺に影響している為だといえます。
どのようなことが起きているのか、と申しますと
東洋医学では胃(脾)と肺は相生関係にあります。
胃の状態によって肺に影響があるということです。
「脾」と有りますが脾と胃は表裏関係といい、セットで作用しています。
食べた物が胃に受納され、腐熟(消化)されると、脾の昇作用で栄養分となる有益な成分を肺に送ります。
肺は脾から受け取った養分を、肺の宣発作用により酸素と一緒に全身へ巡らせます。
脾胃の作用が低下すると食べた物は胃に停滞し、胃の停滞物により、脾胃に熱がこもります。
脾胃は「喜燥悪湿」といい、乾燥を好みます。停滞により湿っぽくなると、下痢や食欲減退、浮腫などが生じます。
また、肺に影響を及ぼすと胃熱からの影響を受け、
・咳
・くしゃみ
・鼻水
・痰
となって熱を放散ようと咳が出るという訳です。
必ずしも、胃の停滞物が原因であるとは限りません。
例えば胆臓や肺・食道に炎症(=熱)がある場合もあります。
ですので、脾胃の作用を正常に戻し、熱を下げる治療をすることで咳が治るということがあります。
鍼はどのようにして咳を治す?
こちらは1,000年程前に書かれた胃の経絡図です。
経絡とは全身には361穴のツボがありますが、ツボ(経穴)は頭の先から、つま先まであります。
ツボ(経穴)とツボ(経穴)は1本の線で繋がっており、その線を経絡といいます。
電車に例えると新宿ー新大久保ー高田馬場が山手線というように、
足三里ー上巨虚ー条口というツボはは胃の経絡で結ばれます。
胃の経絡は胃を貫くことから、胃の経絡で治療をすると咳に効果があるといえます。
③今からできる処方箋
日々ご自宅で出来ることとしては、漢方の服用やお灸があります。
ここでは胃熱に対して効くツボをご紹介します。
鍼や灸では胃の熱を捌く為に、胃の経絡上にある経穴(ツボ)を使い、体性ー内臓反射により胃に作用します。
体制ー内臓反射とは体表面の刺激により、内臓に起こる反射のことです
ですが資格の無い方は鍼は使えませんので自宅ではお灸によって体制ー内臓反射で
胃の熱を捌きます。
ツボ(経穴)のご紹介
衝陽は足の背側、第2中足骨底部と中間楔状骨の間に取ります。動脈拍動部です。
( 足の第2指、(人差し指)の甲の半ばあたり。動脈拍動部上にあるので「ドクン・ドクン」を拍動を感じます。)
お灸や指圧によって胃の熱を下げることが出来ます。
最後に
治らない咳は日常に支障をきたし、お辛いですよね。
「部分」を診る西洋医学と「全体」を診る東洋医学の違い、解っていただけましたでしょうか。
西洋医学も東洋医学も得意とする部分は両者が理解し、不得意とする部分は補い合って
患者様の選択肢が広がれば本望です。
今回、東洋医学有効性はごく一部のご紹介ですが、詳しく知りたい方は下記アニメーション動画をご覧下さい。